写真集『十勝・帯広 昭和の記憶』

 写真集『十勝・帯広 昭和の記憶』は、帯広市を中心に書店を展開する「ザ・本屋さん」と、地元の出版社「クナウパブリッシング」が共同編集し、地域の歴史を次世代へつなぐために制作された圧巻の歴史資料です。
 本書はA4判280ページにわたり、昭和時代の十勝地方の懐かしい風景や庶民の暮らしを記録した約600点の写真を厳選して掲載。制作にあたっては、帯広百年記念館の学芸員である大和田努氏が監修を務め、管内の役所、図書館、企業、そして個人から集まった約2万点に及ぶ膨大な写真群の中から、時代背景や場所を丹念に考証して選定されました。
 誌面には、市中心部の街並みや活気あふれる祭りの様子、農作業の風景、戦時中の暮らし、そして子どもたちが遊ぶ姿など、当時の空気感が鮮明に伝わる貴重な光景が収められています。
 特にこだわったのは、写真の一枚一枚に詳細なキャプション(説明文)を付した点であり、単なる写真集にとどまらず、100年後も利用できる「読み応えのある歴史資料」としての価値を追求しています。
 出版の背景には、全国的に書店が減少する中で、地域の読書文化を守り、地元のアイデンティティを再確認しようとする熱い思いがありました。「売る側」と「つくる側」が垣根を越えて連携し、十勝管内だけで完結させて流通経費を抑えるという、3000冊限定の地域密着型の出版スタイルも大きな特徴です。
 SNSなどで情報が流れて消えてしまう現代だからこそ、紙媒体としてストックされる情報の重要性を見直してほしいとの思いから誕生した一冊。この本を通じて地元の人が地域の価値を再発見し、世代間の会話のきっかけになることを願っています。